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佐世保市グループホーム連絡協議会









佐世保市グループホーム連絡協議会

佐世保市グループホーム連絡協議会発足を振り返って

 

―「高齢者が尊厳を保ちながら暮らせる社会づくり」(ゴールドプラン21())

 

「ゴールドプラン21」 実に懐かしい言葉と思いませんか。平成12(2000)4月、介護保険制度が導入された際の“グループホーム産みの親”です。ずいぶん昔のような気がしますが、わずか6年前の事。高齢者介護福祉の世界は今、めまぐるしいスピードで変革していると肌で感じるプランでした。

 

現在、長崎県内のグループホーム数は335事業所、526ユニット、収容定員は4,649人を数えます。(県長寿政策課、920日調べ)。ちなみに特別養護老人ホームは104施設、定員6,007人、介護老人保健施設が52施設、定員4,584人。グループホームは、心身に障害のあるお年寄りの受け皿として、知らぬ間に、あの「老健」を上回る規模となっていました。

それにしても、県内のグループホームの開設件数は凄まじいものがありました。全国でもベスト3に挙げられ、行政も悲鳴を上げ、今では各地で“待った”がかかった状態で佐世保市でも平成154月までは16施設でしたが、町村合併も加わり、現在は60ヶ所を数えています。

 

なぜ、急激な伸びを見せたのでしょうか?

確かに、長年の「特養」「老健」待機という“介護難民”の受け皿的ニーズもあったでしょう。それよりなりより、介護保険事業に民間の参入が認められたのが大きかったと思います。これまでは“福祉”とは、縁も無かった有限会社、株式会社も数多く参画してきました。ちょっとした“福祉産業起業バブル”との観もあったようです。逆に言えば、県内に新しい産業の芽生えが無かった証拠かもしれません。

それでも介護サービス供給体制に民間活力が大きなエネルギーを発揮するようになって、高齢者福祉施設に対する、住民の意識は除々に変化が生まれてきているようです。周りにいろんなタイプの施設があり、利用者自身の立場で自由にサービスを選べるということが国民の権利意識が着実に根付いてきたようです。

 

佐世保グループホーム連絡協議会が発足したのは、昨年の1115日です。

今年4月に介護保険の改定決まっており、果たしてどんな内容になるのか?地域密着型の導入や介護予防サービスの強化など細切れの情報がささやかれていました。

情報をどう解釈すればいいのか?各ホームが気にかかっていた頃だと思います。これまで各ホーム間同志の“点”での情報交換はあっても、行政単位の全体の様子は分からず“面”での情報交換の場、ネットワークづくりの必要性が迫られてもいました。

発会式は戸尾町のさせぼ市民活動交流プラザで開かれ、市内のホームの9割からの代表者が出席。役員選出や市内を4ブロックに分けての講習会の開催などが決まりました。現在、役員には、同市医師会会長、大学院教授、税理士の先生方にも就任して頂いています。(平成18年9月現在)

 

同連絡協議会の存在感が最も発揮されたのは1月大村市で発生した、夜間のグループホームでの火災死亡事故でした。入所者7人の犠牲者を出し、命を預かる福祉施設の危機管理、防火対策が真剣に問われた事故。“他人事では済まされない”どのホームも対策に真剣でした。市消防局と同連絡協議会で具体的な対応策を協議、215日から防火研修会、実施訓練などを開催し、まさに地域のグループホームぐるみで防火意識を高める機会となりました。

市当局にもスプリンクラー設置に当あたっての補助金交付を交渉しており、5月、7月には消防設備設置のアンケート調査を実施、6月には再度、各地で防火研修会を開催、意識の持続性にも努めています。

この他、44日は新人職員研修会、629日は市保健所と連携した食中毒予防の講演会、922日には世界アルツハイマーデーにあわせ認知症の人と家族の会方々と市の職員と一緒に四ヶ町アーケードでチラシ配りを実施。グループホームを代表した窓口として行政、各種関係団体とのパイプ役も努めています。

 

さて、本県では、グループホームの量的なものは一応クリアしたと見られています。が、今後の問題はいよいよ介護の質の向上です。今年の介護保険の改定で「痴呆性高齢者」の言葉は無くなり「認知症高齢者」と変わりました。専門家の間ではそのこと自体、論争になっているようですが、それだけ時代とともに介護の質の評価は変わってきます。かつての「特養」「老健」で見られたような、集団の流れ作業的ケアから寄り添うケアへと変わってきました。大規模施設でも、全室個室・ユニットケアが主流になってきたようです。これに対しても現場からは形にこだわった幻想、まずは介護の中身を問うことから出発すべきだとの声も挙がっています。

 

グループホームとしては、当初から、温かい家庭的な雰囲気の中@その人の個別性を尊重するA問題行動を柔軟に受け止め、安らぎ、心地よさを感じられるよう適切な接し方をするB自尊心を傷つけず、自分の居場所として安心と誇りを持ってもらうC生活リズムを整え、精神的刺激を与え、心と身体の活力を引き出すD環境の変化を避け、ストレスを与えず、当たり前の暮らしの場とするE医療と結びついた健康管理を行う。などの認知症介護理念を掲げてきました。各ホームともいろんな取り組みがなされ、介護の質の向上には、相当の成果を感じられたと思います。

 

だが、現実はどうなのでしょうか?限られた人数のケアワーカー、教科書通りには反応してくれないお年寄り、いつの間にか姿が見えなくなる徘徊老人、チームワーク内での人間関係の軋轢、上司への不信感、財政の問題もあります。ワーカーたちは多くの喜びもあったでしょうが、それ以上の涙もあったと思います。介護する人間の孤独、それがいつまで続くのか?今後はケアをする人をケアするというシステムが介護の質を上げる大きな課題のひとつになってくるはずです。

 

各ホームの「よい食事ケア、排泄ケア、入浴ケア」への取り組み、身を切るような覚悟と努力を通しての成果、そして失敗、いまだに解決しない悩み。

これらは、ホームの“個”の中に仕舞い込むのではなく、会員同士、同じ仕事に携わる仲間として情報を共有できないものでしょうか。広角的な視点で見るとき「こんな方法もあったんだ」との気付きもあるかもしれません。

同連絡協議会も“介護の質の向上”を活動の最重要課題に掲げ、今後は県内外の有識者を集め、事例発表やシンポジュウムの開催等を検討していきたいと思っています。

 

”もっとお年寄りに笑顔を! もっとワーカーたちに喜びを!“

 

 

平成18年9月25日 

佐世保市グループホーム連絡協議会
会長 湊 浩二郎